授業事例
オンデマンド型 × 講義政治経済学部 経済政策原理
齋藤 雅己 先生
授業概要・オンラインの活用状況
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オンデマンド
講義の特色 |
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開講期間 | 2020年度秋学期 |
配当年次 | 3~4年生 |
開講地区 | 駿河台キャンパス |
履修人数 | 273 |
使用言語 | 日本語 |
到達目標 | 本講義は、経済理論を現実の経済問題へと実践的に応用して、経済運動のメカニズムが円滑に、効率的に、拡大的に機能するように維持、管理していく「経済政策形成の原理」を明らかにすることを目的とし、受講生が、学習した知識や経済理論(モデル)を十分に理解したうえで、それらを現実の経済問題の分析へ適用し、政策的に応用できるようになることを目標としている。 |
オンライン授業としての特長 |
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オンラインを活用した授業方法・内容
オンデマンド形式
作成ツール | ・講義動画作成 1(ビデオ撮影) ― 対面式での授業に近いものを受講生に提供するため、自宅リビングに大型のホワイトボード(1200×900mm)を設置し、板書をしながら行う講義を家庭用ビデオカメラ(HD画質)で撮影後、MP4形式のデータをPC上に移して動画編集を行った。 ※ホワイトボード用ペン・イレイサー、撮影用照明機材などを別途用意。 ・講義動画作成 2(OBS Studio) ― 通常,教室ではスクリーンに映している【PDF/パワーポイント資料/Webサイト等】を用いて講義する場合、OBS Studio*というクロスプラットフォーム対応のライブ配信/ビデオ録画ソフト(無料版)を利用して、PC上に当該資料を表示するとともに、教員の顔を画面左下に小さく映しながら講義の収録を行った。 *OBS Studio:このソフトは、複数の表示画面設定ができるため、講義をしながらPDF/パワーポイント資料/Webサイト/写真/動画等の自由な切り替えがスムーズで、かつ高画質での収録が可能であった。 ・動画編集(Bandicut) ― 上記の講義動画作成後、MP4形式のデータファイルをBandicutという簡易動画編集ソフト(無料版)を利用して分割/編集し、最終的に【YouTubeへの限定公開】という形で講義を配信した。 ※「YouTube」の利点は、前頁「オンライン授業としての特長」で説明。 ------------------------------------------------------------------------ (補足1)Zoomによる講義動画作成上の問題点 当初、資料を用いた講義動画を作成する際に「Zoom」を利用して収録したが、Zoomは多人数でのオンラインMeeting用ソフトであるため、画質も音質も極めて低く、オンデマンド型配信授業の収録にはまったく適していなかった。長時間の視聴が求められるオンライン授業の場合、受講する学生にとっては画質と音質がとても重要で、これらがよくないとストレスとなって集中して受講できなくなるため、この点の改善は必須であった。 (補足2)パワーポイントでの講義動画作成上の問題点 パワーポイントに音声を入れた講義動画の場合、配信動画の利点の一つである速度調整ができないことから利用を避けた。また、音声のみで、講義をしている担当教員の顔が見えないという点も利用しなかった理由である。受講生からの意見として、オンデマンド型配信授業の場合、担当教員の顔を見ながら受講できるということがとても重要である。(上記の「OBS Studio」では、資料を表示しながら、自分の顔を映して講義することが可能。) |
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動画の平均時間 | 本科目(秋学期集中:全28回のうち中間試験を除く27回講義実施)の講義動画についてのデータは下記の通り。 ・講義動画総数:99本(内訳:講義動画70本、Q&A動画29本) ・講義1回あたり平均動画数:3.7本 (Q&Aを除いた講義動画としては平均2.6本) ・(授業冒頭)前回講義内容に対するQ&A動画時間:平均33分 ・講義動画の平均時間:105分/1講義(動画1本あたり平均37分) <まとめ(大まかな受講の流れ)> 【Q&A動画】30分程度 1本 → 【本講義動画】35分程の動画 3本 ------------------------------------------------------------------------ (補足1)講義動画1本あたりの時間について オンデマンド授業実施前に、大学からは、受講生の「動画視聴の集中力」継続の観点から、講義動画1本あたり10~15分程度とするように指示があったと記憶しているが、その根拠となるデータは数年前のものであり、通信状況の改善に伴う視聴習慣の変化からより長時間の動画視聴は可能であると判断した。講義動画1本あたりの時間を短くすると、必然的に動画の本数が多くなってしまうため、次の動画に移る煩わしさが増すこととなる。 ※昨年度の時点でも、YouTubeでは30分~1時間程度の動画が数多くアップされていて、自分自身の経験からも長時間の継続視聴に何の問題もないということが言える。 (補足2)1講義あたりの時間について 毎回の講義時間は、Q&Aを含めると100分を超えるが、受講生が動画音声を聞き取りやすいように講義自体は大きな声でゆっくりと話しており、学生には1.25~1.5倍程度の視聴速度で受講するよう指導した。 ※2時間(120分)の講義動画は、1.25倍速視聴で96分、1.5倍速視聴で80分となる計算。 |
内容 | 対面式の授業と同様に、板書/レジュメPDF/パワーポイント資料/Webサイト等を適宜用いながら、本科目の内容を講義した。 冒頭、前回講義の出席送信コメントで受講生から出された重要な質問に対して回答・補足説明をすることで、前回講義範囲の復習と当該授業内容のウォーミングアップを行った。 また、受講生の講義動画視聴時の集中力継続の難しさに配慮して、毎回、講義の中盤には様々なTopicを取り上げた Short Break(10~15分程度)を挟むようにした。 |
予復習の指示、成績評価の方法
予習 | 次回授業の1週間前にOh-o! Meijiへアップされる講義レジュメをダウンロードのうえ学習内容を確認し、当該範囲についてテキスト/参考書を用いて予習するとともに、空欄のある「予習用」補足資料に一通り目を通し、可能な限り空白部分を埋めるように指示した。 また、本講義は、現実経済において生じている様々な問題と関連させながら授業を進めていくため、日常的に関心を持って経済情報の収集・整理を行うように指導し、毎週金曜日の出席送信時に、主に『日本経済新聞』の記事を中心として「自分が特に重要だと考える経済問題(経済News)」について書くという小課題があるので、その情報を集めるように指示した。 ---------------------------------------------------------------------- (補足)予習・復習の必要時間について 受講生には、教室での講義1コマに対して教室外で4~5時間の学習が必要であり、1週間に2コマ=200分(3時間20分)である本科目に対しては、この予習と下記の復習をあわせて教室外で毎週約9時間の学習が必要となる旨を説明した。 |
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復習 | 講義を視聴して分からなかった部分や疑問に思った部分に関して、テキスト/参考書/Webサイト等を開いて確認するように指示した。 また、講義配信時に「復習用」として空欄を外した補足資料をOh-o! Meijiで配布して、予習時/授業時に予習用補足資料の空欄へ書き入れた内容を確認するように指示した。 毎回の講義冒頭で行う前回講義内容に関するQ&Aも復習として活用するように伝えた。 |
成績評価 | 中間レポート(50%)と期末レポート(50%)の合計に授業への参加度(特別加点による上乗せ;最大15%)を加えて、100点満点で評価するということを初回授業で本科目の「詳細版シラバス」を配布して受講生に周知し、そのとおり成績評価を行った。 ※通常は、レポートではなく筆記試験を実施。詳細版シラバスについては、次ページにて説明。 なお、授業への参加度は、毎回の出席送信コメント(授業に関する感想/質問、50文字以上)および毎週金曜日の現実経済問題に関する小レポートを提出することで評価した。 |
学生とのコミュニケーション
学生とのコミュニケーション方法 | ・詳細版シラバスの配布 ― 講義の進め方や受講時の基本的ルール、出席・試験・成績評価など、本科目に関する重要事項について、受講生が知っておく必要のある情報を10ページにわたって記載した「詳細版シラバス」を学期の初めに配布し、初回配信授業にて説明した。 ・毎回の出席送信コメント ― 受講生が担当教員に伝えたいことは、基本的に毎回の出席送信コメントに書くように指示し、教員はすべてのコメントに目を通すとともに、オンライン授業の改善につなげた。また、必要に応じて、Oh-o! Meijiの出欠管理(出欠登録)機能にある「教員コメント」欄にコメントを記入し、重要な質問に対しては次回授業にて回答・補足説明を行った。 ・Oh-o!Meijiクラスウェブでのアンケート ― 中間・期末レポートについては、提出期限の2週間前からレポート課題の内容に関する問い合わせができるように、Oh-o! Meiji クラスウェブのアンケート機能を活用した。教員はすべての問い合わせに対してコメントを返信した。 ・Zoomによるオフィスアワーの実施 ― 毎週金曜17:10~18:10に、Zoomによるオンラインでのオフィスアワーを実施した。Zoomアクセス用のID/PASS(毎回同じもの)は、Oh-o! Meijiのお知らせ機能で周知し、受講生はアポイントメントをとることなくオフィスアワーに自由に参加できるようにした(途中退室も可)。これにより、例年の対面式でのオフィスアワーよりも多くの学生が参加してくれた。 ※対面式授業に戻ってもこのオンラインオフィスアワーは継続していきたい。 ・メールによる連絡 ― 上記の諸手段を補足するものとして、メールによる問い合わせもできるようにした。教員宛メールアドレスは、「Email送信の仕方」とあわせて詳細版シラバスに記載した。 |
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工夫や苦労したこと
工夫した点 | ・学生が受講しやすいと感じられる工夫 ― なるべく対面式授業に近いものとなるように、「パワーポイント資料+音声のみ」とはせず、自宅にホワイトボードを設置して、板書しながら講義する部分も取り入れた。また、受講生が教員の表情や身振り等を見ながら受講できるように、資料を用いた講義の時も教員の顔が画面内に映るようにした。 ※受講生からは、「教員の顔が見えると安心する」、「集中力を途切れさせずに受講できる」という意見が多数あった。 ・Short Breakの実施 ― 受講生の講義動画視聴時の集中力継続の難しさに配慮して、毎回、講義の中盤には様々なTopicを取り上げたShort Break(10~15分程度)を挟むようにした。このShort Breakで扱うTopicsは、授業内容や経済学に関連するものにとどまらず、受講生の今後の人生に役立つようなものから、リラックスして楽しく聞けるようなものまで幅広く選んだ。 ※このShort Breakは、対面式授業においても例年実施している。 ・受講生の学習サイクルの確立 ― 「いつでもどこでも講義を視聴できる」というのは、オンデマンド型の利点であるが、その裏返しとして、毎週決まった時限に受講する必要がないため「学習サイクル」を確立するのが難しいという問題が生じる。このことから、出席送信の期限設定(授業配信日の翌日)や講義内で毎週の現実経済問題を取り上げるとともに、それに関連する小課題を提出させるなどの工夫をして受講生の学習サイクルの確立・維持に努めた。 ※それでも、毎回きちんと授業を受けていない学生が半分近くでていた。(受講生の視聴状況は、YouTubeの視聴回数/アナリティクスで把握) ・受講生とのコミュニケーション ― 教員から受講生への一方通行とならないよう、対面式での授業よりも気を配った。とくに、すべてに目を通している毎回の出席コメントについて、授業冒頭のQ&Aで質問に回答するだけでなく、授業動画内でもなるべく受講生からのコメントに書かれていたことを取り上げるように努めた。これは、担当教員と学生の関係性を築くうえで対面式授業にはない難しさがあるためで、画面越しであっても、「教員が受講生の声をきちんと聴いている」ということを受講生に意識させる必要があった。 ・受講生からの授業改善案の募集 ― 今年度は、オンライン授業(オンデマンド型配信講義)自体が初めてだったため、実際に受講している学生から、講義の進め方や動画配信の仕方等、授業改善につながる意見/アイデアを広く募り、いいアイデアや改善してほしいという要望があった場合には、できる限り早く対応するように努めた。 (例)YouTubeのチャプター機能の利用や動画終了時の次の動画への画面内リンク、音質の改善、動画では見づらい板書の写真画像アップなど。 |
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苦労した点 | ・授業以外の手間と時間の増加 ― 講義動画の撮影後、動画内容を確認して編集を行い、YouTube上へアップロードするのにかなりの手間と時間がかかってしまった。 ― 動画編集については、必要ない部分をカットするとともに、講義内容・講義時間等を考慮に入れながら各動画の長さを調整して分割するくらいだったが、それでも講義以外に多くの作業時間がかかってしまう点は負担となっていた。 ・受講生の受講姿勢の改善 ― 対面式授業のように、学生の受講時の様子をリアルタイムで直接見ることができないため、彼らが「受け身」にならず、主体的に授業に取り組めるように促すことが難しかった。そこで、講義動画内において、配信授業の受け方や学習の仕方、集中力維持のためのアドバイス、出席コメント内での小課題(毎週1回)導入など、様々な工夫をした。 ・生活騒音の問題 ― ときおり自宅で飼っているネコが走り回ることがあったため、その騒音で講義の音声が聞きづらくならないように気を遣った。(それでも何度か聞きづらい部分がでてしまった。) |
失敗した点 | ・講義動画配信の遅れ ― YouTube上での動画のアップロード処理に時間がかかったことから、全28回の講義のうちで2回ほど授業設置日の授業開始時刻までに講義動画のアップロードを終えられずに、講義の配信が遅れてしまった。 ※講義配信が遅れる可能性がある旨をOh-o! Meijiのお知らせ機能で事前に受講生へ伝え、アップロード完了後に再度お知らせを送信した。 ・講義収録のやり直し ― PC上の収録ソフトが「一時停止」となったまま気が付かずに講義をしてしまい、再度、同じ内容の講義(45分程)をやり直して収録したことがあった。(上記の講義配信遅れの一つはこれが原因) ・音声レベルの調整 ― 講義動画の音声レベルについて、自分自身のPC/タブレット/スマホ上では問題なく聞くことができていたが、受講生からは音声が小さいという指摘(苦情)が多くなされた。 ※マイクを新しいものと交換し、収録ソフトの音声レベルを上げることで対応。 |
アイデア | ・オンライン(オンデマンド型)授業の利点 ― 講義科目に関しては、オンデマンド型授業の利点がとても多く、教育効果も高いと考えられるため、新型コロナ終息後も活用していくことが望ましい。 <利点> 配信動画は視聴する時間と場所の制約を受けず、一時停止/巻き戻し/早送り/繰り返し視聴ができることから、受講生が分からない部分を一時停止して考えたり、聞き逃した部分を巻き戻して確認したり、視聴後に繰り返し視聴することで復習したりすることができる点にある。場合によっては、すでに十分な知識があって理解している部分は早送りして視聴時間の節約も可能である(実際のところ、受講生には1.25~1.5倍速で視聴するように勧めている)。また、近年は、3年次にも就職活動に関連してインターンシップや説明会等で欠席する学生が多かったことから、欠席に伴って受講できなかった授業を受けられるというのは、教育上、極めて大きな効果がある(これまでのような欠席による当該科目の学習の遅れや理解不足がなくなる)。これは、合宿や試合等によって欠席が多くなる体育会の学生にとっても同様である。 ・オンライン(オンデマンド型)授業の課題 ― 他方で、オンデマンド型授業は「いつでもどこでも視聴できる」ことから、受講生がついつい視聴を先延ばしにしてしまいがちであることも確かである。今学期の本科目では、講義を視聴せずに出席送信をする学生が3分の1から半分程いたため、いかにして講義視聴の動機付けを行い、毎週の受講/学習サイクルを確立させるかということが課題となる ※講義中に毎回異なる出席送信パスワードを提示したり、講義を視聴してからでないと出席送信できないシステムを導入したとしても、抜け道はいくらでもあるため、受講生が本当に配信講義動画を受講しているかどうか確認することはできない。(ただし、これは対面授業での教室においても同様である)。 ― 毎回の授業で小課題を出し、期限内に提出させるということが一つの案として考えられるが、受講生が多い場合は課題をチェックする教員側の負担が大きくなり、課題の分量によっては受講生側の負担が過大となってしまうことが懸念される。したがって、講義の視聴を強制するのではなく、視聴するかどうかは学生側に委ね、講義をきちんと視聴して学習し、講義内容を十分に理解していないと解答/記述できないような中間・期末試験問題を出すことによって受講生の学習を促すということも大学の在り方として一つの方向性であると考える。 ※中間・期末試験の形式/内容/レベルおよびその評価方法については、受講生に対して事前にアナウンスしておく必要がある。(本科目では、詳細版シラバスにて周知させた。) ・課題のフィードバックや評価基準(採点結果)の開示/説明 ― 本科目では、講義時間内に中間レポート(論述課題)についてフィードバックを行い、評価基準(評価ポイント)や採点結果、および剽窃/盗用等のレポートの問題点も解説した。その後,受講生からは、このようなフィードバックがとても勉強になり学ぶことが多かったという意見や、他の授業においては課題が出されるだけでフィードバックがないということに対する不満や要望が多数なされた。これは対面式の授業であっても同様であるが、課題が多くなる傾向のあるオンライン授業においては、教育効果を高めるためにこのフィードバックが欠かせないものと考える。 ・反転授業の展開(講義内容に関する質問の活用) ― YouTube上などに過去の講義動画のストックがある場合、事前に受講生がそれらを視聴したうえで、学生同士がディスカッションしたり、グループワークを行うなどの「反転授業」を行うことが可能となる。 ― あるいは、講義動画視聴後、受講生全員に少なくとも一つは質問を挙げさせ、その質問をまとめたうえで、重要な質問に対して教員が答える形で講義内容の補足説明や発展的内容を講義するということも教育効果が高いと考える(質問内容によっては学生が答えてもよい)。というのも、そもそも講義をきちんと視聴しなければ適切な質問をすることはできず、そのようにして質問を考えながら受講することで講義内容の理解が深まり、講義も集中して聞くことができる。 ― さらに、受講生から出された重要な質問をまとめて受講生全員に配布・シェアすることで、受講生は自身の理解度を測ったり、自分が理解していなかった部分に気付けたり、異なる観点から授業内容を考えたりすることもできる。これらは、学生の学びに不可欠な「質問力」を向上させる教育効果もある。 ― 受講生からの質問を見れば、当該学生が講義内容を理解しているかどうかという判断ができるとともに、教員側は講義の問題点や不十分な点、改善点等も把握することができる。 ― また、受講生からの質問に担当教員が答えることで、受講生は、自身が授業に参加しているという意識や教員側が受講生と向き合っているという感覚/認識を得ることができる。これは、オンライン授業を一方通行のものからインタラクティブなものへと変えるという点で重要な意味を持っている。 ※ただし、受講生の人数が多い場合、すべての質問を読んで選別し、まとめるだけでもかなりの時間と労力がかかってしまうことは否めない。(実際に、2020年度に、本科目で約200名からの質問を受け、上記内容を試験的に試みた経験より) ・受講生とのコミュニケーション ― 対面式の授業と比較して、受講生に直接話しかけることができないオンライン授業では、いかにして受講生とコミュニケーションを取っていくのかが課題となる。学生とのコミュニケーションにはいくつか方法があるが、毎回の出席送信時コメントの活用が基本になると思われる。担当教員が、受講生からのコメントすべてにきちんと目を通し、受講生が考えていることや感じていることを把握することで、授業改善や効果的な授業の進め方につなげることができるといえる。また、必要に応じて、Oh-o! Meijiの出欠確認を通じて、教員から学生へコメントを送ることもできる。さらに、担当教員が受講生のコメントをすべて読んでいることが伝わると、かれらの受講姿勢にもポジティブな影響がある。 |
改善した点 | ・講義のクオリティと教育効果の向上 ― 2020年度のオンデマンド型配信講義(オンライン授業)は、それ以前の対面式授業とそれほど大きな違いはないと考えるが、もっとも大きな違いは、100分間という教室の時間制約がなくなったため、講義内容の説明や学生からの質問への回答などに十分な時間をかけることが可能となったことである。これにより、授業時間内に講義予定範囲を終えられずに次の授業に持ち越したり、説明が早口になったり駆け足になったりすることもなく、講義のクオリティは向上したといえる。受講学生側も、欠席時に授業が受けられずに学ぶことができなかった点がなくなるとともに、理解が難しい点などは一時停止したり繰り返し視聴したりすることで、より深く理解することができるようになった。これらの点は教育効果の向上に大きく貢献するものであろう。 |