授業事例
オンデマンド型 × 講義政治経済学部 財政学
倉地 真太郎 先生
授業概要・オンラインの活用状況
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オンデマンド
講義の特色 |
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開講期間 | 2020年度春学期 |
配当年次 | 3~4年生 |
開講地区 | 駿河台キャンパス |
履修人数 | 243 |
使用言語 | 日本語 |
到達目標 | 本講義の目標は、財政と市場の関係性、日本と諸外国が直面する財政問題を学び、財政政策と公共サービスの意義と課題を理解すること、身近な社会問題を財政学的視点でとらえることである。(シラバスより) |
オンライン授業としての特長 |
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オンラインを活用した授業方法・内容
オンデマンド形式
作成ツール | Power Director 365という動画編集ソフトを使って講義動画を作成した。動画ファイルの圧縮や字幕自動生成はYouTubeの機能などを使った。 |
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動画の平均時間 | ①15分、②15分、③15分 |
内容 | 講義動画で財政学の基本的な考え方を実際の例をあげながら説明している。講義動画ではパワーポイントの資料を使う。資料もOh-o!meijiで共有している。アンケート機能で授業内容に関する4択問題を出題し、評価点の一部にした。 |
予復習の指示、成績評価の方法
予習 | 昨年度の授業資料の共有。文献調査の方法に関する動画の共有。 |
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復習 | 新聞やニュースなどを見るように指導している。 |
成績評価 | 小テスト(毎回・質問感想と4択問題):40% 期末レポート:60% |
学生とのコミュニケーション
学生とのコミュニケーション方法 | (1)Oh-o!Meiji内アンケート機能 (2)メールによる連絡 |
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工夫や苦労したこと
工夫した点 | ①オンデマンド授業動画のすべてに字幕を挿入 YoutubeのAI字幕自動生成機能を使って撮影した動画の文字起こしを行い、校正を行った上で全ての動画に字幕を挿入した。音声が自宅で流せない学生、留学生、ハンディキャップがある学生など、多くの学生から評価を頂いた。また、動画ではBGM、効果音、テロップ、イラストなどの編集を行い、長時間でも見やすい内容を心がけた。iPadと連携することでスライド上に線や図を書き込むことができるようにした。 ②使用できる通信量にあわせた授業資料の公開 動画(字幕付き)、音声、字幕の3種類のオンデマンド配信を行い、通信量にあわせた履修を可能にした。編集を行った動画ファイルは非常に重くなるので、アップロードする際はギリギリまで圧縮し、動画であっても非常に軽い容量になるようにした。 ③スマホによる動画閲覧を前提としたオンデマンド動画と資料の作成 多様な視聴環境(PC、タブレット、スマホなど)を想定して、スマホでも動画コンテンツや授業資料が閲覧しやすいように工夫した。具体的には文字のサイズを一定以上にすること、図表なども大きく表示することなどをした。また、ワードファイルを共有する場合はそのままPDFにしたものだけを共有すると、スマホで拡大しないとほとんど見れなくなってしまう。そこでワードファイルを共有する場合はテキストベースでも共有し、スマホでもみられるようにした。 ④音質の改善 オンデマンド動画は画質よりも音質の改善を優先させるべきだと考えた。というのも、オンデマンド動画は一定以上の時間の視聴を前提とするため、音質が悪いと視聴へのストレスが大きくなってしまうためである。音質の改善はハード面では単指向性マイクを使って収録を行い、ソフト面では動画編集ソフトで音量の調整や音声の正規化などを行った。 ⑤無駄な尺やブレス音の削除 理由はよく分からないが、対面授業やリアルタイム授業では気にならない「間(沈黙)」がオンデマンド授業だと気になってしまい、それが長時間の視聴を妨げる要因になっていると考えた。そこで沈黙やブレス音が入ってしまう箇所は動画編集ソフトで適時削除して、できる限り「間」のない動画を作成した。結果、動画の長さは収録時間よりも3分の2まで圧縮することができた。 |
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苦労した点 | ・オンデマンド動画の編集に非常に多くの時間を使ったことがあげられる。多くの時間を使ったことは決して無駄ではなかったが、来年度も同じようなスタイルで時間をかけて動画コンテンツを作成すること(特に字幕の作成)は難しいと思われる。 ・レポートでは4,000字の課題を出した。普段は3,000字であったが、テストができない分多めにした。しかし学生からは不評であった。他の授業の課題の相場観が分からず、適正な課題設定に苦労した。 |
失敗した点 | ・AIによる字幕生成は精度があまり高くないので、一つ一つ確認・修正していく必要があった。非常に労力がかかる上で、どうしても見落としてしまう点があり、学生から字幕の誤字脱字の指摘を受ける点が何度かあった。有料の字幕自動生成サービスの方が精度が高いので今後はそれらの活用を検討している。 ・視聴を強制できない環境のため、受講者によって参加度合いに大きなばらつきがあったと思われる。オンデマンド動画をいくら作り込んでも、それが必ずしも学習効果の向上につながるとは限らないことも今後の課題である。 ・レポートのフィードバックができなかったこと。 |
アイデア | ・2020年度に作成したオンライン授業コンテンツの活用 2021年度は、過去に作成した授業コンテンツ(動画など)を再度利用することを検討する教員が増えると思われる。もっとも、授業コンテンツの使い回しは、学生から「手抜きをしている」等のネガティブな印象を与えかねない。だからといって、一から動画コンテンツを作るとなると負担が大きくなる。そこで過去に作成したオンライン授業コンテンツを再活用するノウハウを学内で共有するのが良いのではないかと考えている。例えば、2020年度に作成したオンデマンド動画も公開し、補助教材として復習のために閲覧を推奨する。必要であれば追加コンテンツを毎年作成し、オンデマンド動画も秘伝のタレのように充実させていく。昨年度を使い回すか、捨てるかといった二択ではなく、両方を活用することで、オンライン授業の最大限のポテンシャルが発揮できるのではないかと考えている。 ・対面オンラインハイブリッド授業への支援 2021年度以降は、大人数講義などで対面オンラインハイブリッドを採用する機会が増えると思われる。これまで明治大学ではカメラやマイクの設置・貸し出しなどハード面での支援を充実させてきたが、ソフト面(サービスやノウハウ)での支援は多くの改善点があると思われる。対面オンラインハイブリッド授業では、どうしてもオンライン参加者の扱いがおざなりになってしまい、ソフト面での工夫が一層求められる。本事例共有サイトをきっかけに学内で様々なノウハウを共有できれば良いのではないかと考えられる。 ・履修していない学生(潜り)が気軽に授業コンテンツを視聴できる仕組み 現行のOh-o!Meijiでは、履修者以外の学生に授業コンテンツを公開する方法がない(Microsoft OfficeのFormsなどで学内ログインで共有する方法はある)。オンライン授業のポテンシャルを最大限活かすためには、履修していない学生や他キャンパスの学生も(教員の許可があれば)自由に閲覧できる仕組みがあっても良いかと思われる。授業コンテンツのアクセスの拡大は学生にとってもメリットが大きいと考えられる。 ・基本的な動画編集のノウハウを共有 オンデマンド動画の撮影時に、言い間違いがあったから再度一から収録しなおしているという先生方が少なからずいたようである。過度な編集は必要ないが、動画の尺をカットすることさえできれば、一から取り直す必要はなくなり、収録時間を大幅に削減できる。動画編集ソフトの簡単な使い方などを学内で共有できればよいのではないか。 |
改善した点 | 昨年度の対面授業と今回のオンライン授業は全く別ものとして考えるようにした。どちらが優劣があるかではなく、相互に補完する関係になっている。2021年度以降はオンライン・対面をうまく使い分けた授業設計を行っていきたい。 |