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授業事例

リアルタイム/オンデマンド併用型 × 講義政治経済学部 国際関係史
川嶋 周一 先生

授業概要・オンラインの活用状況

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リアルタイム/オンデマンド併用

リアルタイム

講義の特色
  • 講義が中心
  • グループワーク形式
開講期間 2020年度秋学期
配当年次 3~4年生
開講地区 駿河台キャンパス
履修人数 50
使用言語 日本語
到達目標 17世紀から20世紀末までの国際社会の構造形成、変容、国際社会の力学のありかた、そして主だった国際政治上の事件(第一次世界大戦等)について、基本的な知識と視座を獲得し、現在の国際社会における諸問題を歴史的な視点からとらえ直すことができること
オンライン授業としての特長
  • 1)オンデマンドとリアルタイムを併用し、リアルタイムでフィードバックを行ったこと : オンデマンド教材を授業の一週間前に提示し、各回課題を提示し、期間内(一週間以内)に課題を提出した学生対象に、課題へのフィードバックをZOOMで行った。フィードバック授業では、よくできた提出課題は、その理由とともに提示する一方で、不十分なものはその理由を解説した。同時に教材で十分に理解されていなかった概念等の補足説明も行い、受講生の一層の理解をただした。本授業は、週2コマ4単位授業だが、フィードバックは60分程度とした。なので、形式的には毎週やや短めの授業が開かれた感じとなった。なお、このフィードバック授業は録画し、後日クラスウェブから学期中はいつでも視聴できるようした。ただし、フィードバック授業への出席者数は10名を超えることはあまりなく、視聴数も一桁が大半である。
  • 2)グループディスカッションを実施したこと : 計3回、授業内容に関連する問題につき、論点を予め提示し、論点に従ってZOOM上でグループディスカッションを行った。ディスカッションへの参加は任意とし、不参加の人には論点に沿ったレポートの提出で代替した。ディスカッションへの参加およびその代替レポートは、採点し、学期全体の成績に反映した。ディスカッションはZOOMのブレークアウトルーム機能を用い、ディスカッション中のビデオのオン・オフは受講生に任せた。ディスカッション時間はおおよそ30-40分で、ディスカッションの様子を見ながら適宜時間を設定した。ディスカッション後に、各グループの様子を代表者の人に簡潔に発表してもらい、内容を受講者間でシェアしてもらった。反省点としては、参加任意としたことで、参加学生が受講生の2割程度にとどまったことである。また、参加学生も固定化されてしまった。やはり、見知らぬ学生とディスカッションするのはかなり心理的抵抗が大きいようである。他方で、参加学生からは、他の学生の意見が聞けてよかった、という声が多く寄せられた。
  • 3)オンデマンド教材は、可能な限り、長く視聴できるようにしたこと : 1)のようなフィードバックを行う一方で、オンデマンド教材への課題の回答は、期限を設けず、学期内であれば常に採点することを公言した。つまり、一週間以内の課題の提示は、あくまでフィードバック授業のための〆切に過ぎず、成績に関連する〆切ではないこと(成績上の〆切は秋学期の授業期間内であること)を何度も受講生に念押しした。これは、オンデマンドは授業時間に限られず受講できるという特性があるからこそ、その特性を殺す様な回答期限を設けるべきではないのでは、という考えから、そのように設定した。実際、上記特徴1)で書いたような、一週間以内の回答を行う学生と、期間外で課題を提出する学生の割合は、大雑把に言って、1:4の割合となった。アンケートからは、回答期限を長くしてもらって助かった、という声が多く寄せられた。

オンラインを活用した授業方法・内容

リアルタイム形式

使用ツール すべてZOOM
ツール活用方法 ライブ授業(録画して後日クラスウェブで視聴可能)
内容 前項目(オンライン授業としての特色)を参照のこと。

オンデマンド形式

作成ツール パワーポイントに映像をつけて、最後に動画に変換している。動画変換した後は、原則的に編集は行っていない。映像での説明に不備があった場合、パワーポイントにアニメーションをつけて説明を補足した。
動画の平均時間 1)20-30分、2)50‐60分、3)50分、4)30-50分 (4単位、半期集中科目。やや動画時間は長くなってしまった)
内容 テキストに沿って説明を行っている。

予復習の指示、成績評価の方法

予習 各回で具体的な指示をしているわけではないが、全体的には、指定したテキストに目を通すようには指示した。
復習 各回において、参考文献をつけたので、わからない点があった場合は、その参考文献を見るようにと指示した。
成績評価 各回の課題:70%
ディスカッションの参加もしくは代替レポート:30%

学生とのコミュニケーション

学生とのコミュニケーション方法 (1)Oh-o!Meiji内アンケート機能
(2)フィードバック授業におけるZoomでのチャットおよび音声によるやり取り。(ゼミ学生で個別の連絡先を把握している場合は、個別に質問に回答したりもした)

工夫や苦労したこと

工夫した点 教材の映像に色々と工夫を凝らし、受講生が「エンタメ気分」で受講できるようとしたことである。とは言え、それほど凝った編集をした訳ではない。

具体的には、
1)本授業がヨーロッパを中心とする国際関係の歴史を扱うことから、歴史上の地図や人物、写真などの映像や画像を可能な限り多く教材に盛り込み、「できるだけ画面を文字だけにしない」ことを心がけた(途中から、どうしても文字だけになる場合は、背景を写真にするとよいことに気が付いた)。また、説明の際の口調も、原稿を読み上げるのではなく、説明内容を一度文字起こししたうえで、それを頭に入れて自分の言葉として話しているように演出した。普通の人は、話すときにはそれなりの「間」が開いてしまうもので、YouTuberのような映像ではその「間」を編集でカットして映像としてのスピード感を演出している。そのような編集を行うのは物理上不可能なので、間を編集することはしなかったが、間が生まれないように、こまめに説明内容を暗記し(その都度録画し)たうえで、滑らかに説明しているように演出した。
2)教材はパワーポイントファイルを映像に転換する形で作成しているが、パワーポイントファイルにできるだけ「アニメーション」をつけた(説明するタイミングで文字や絵が登場したり動いたりする、アレ)。学生がパワポで発表する場合はアニメーションをつけるのが普通だし、このあたりのパワポファイルの作成センスは学生の方がずっとあるように思うので、学生が「自分で作ったファイルの方がマシ」と思われないようにした(つもり)。
3)授業内容のイメージを盛り込んだ独自のオープニング映像を作成し、回を選んで流したこと。また、各回でオープニング映像は適宜編集し、「前回見た映像と微妙に違う」と敢えて公言して、その映像を見るように誘導したこと
4)また、受講生がクスっと笑えるような、あえて「ツッコミどころ」をできるだけ最低一か所はあるように作ったこと。(これは上手く作れない時もあった)
5)授業の終わりになると決まって流れる「エンディングテーマ」を決めて流し、「映像作品として今週は終わり」というイメージを演出したこと。
6)ゆえにまとめると、授業であっても、受講生はそれを「映像」として見る以上「映像作品」としてあたかも成り立っているようかのようなものとして「コンセプト」を考えて作成したこと。たとえて言うなら、自分で毎回NHKスペシャルを作っていた感覚があった(もちろん映像作品としてNスぺとは天と地ほどの違いがあるのは重々承知しているが、意識として)。

また、授業の特色でも書いたような、授業全体の設計を複雑なものとしたが(毎週のフィードバック授業実施、三回にわたるディスカッションの実施)、これはすべて「遠隔授業であっても受講生が本授業に参加している気分を体感させるための仕掛け」として考案したことである。
苦労した点 工夫した点の裏返しであるが、オンデマンド教材の毎週の作成は極めて時間がかかり、通常の授業準備の5倍位の時間とエネルギーを取られたように感じる。授業で説明する内容の準備すら、例年ではいっぱいいっぱいなのに、それに加えて「映像作品としての質」を考えてその作成に充てなければならない時間は想像以上に長く、大変しんどかった。それでいて、毎週短めであるが、フィードバック授業もZOOMライブで行うので、体力的にも精神的にもきつかった。あまりに長時間労働が続くと鬱になる、という話を身をもって体験しそうになった。
失敗した点 反省すべき点、改善すべき点は多数あるが、「これは失敗だった」というのは、正直よく分からない。
 とはいえ、強く反省すべき点、同様の授業を行うのであれば改善すべき点は多数ある。
 強く反省すべき点としては、受講生の受講インセンティブが分からない場合、どのような工夫を凝らしても、「負担感の重い授業」は敬遠される傾向があり、その点を考慮せず、授業設計をしたことである。教員も体力的・精神的に多大な時間とエネルギーを使ったが、受講生側も非常に負担に感じたのが、授業改善アンケートからも伝わった。
 改善すべき点としては、授業の進行の仕方を試行錯誤したため、成績のつけ方も二転三転し、受講生に多くの混乱と誤解を呼んだことである。また、各回の「課題」+3回のディスカッションへの参加もしくは代替レポートと、提出すべきものが多く、かつ毎回の課題も1週間の期限内の提出は「出欠」から、それ以外は「レポート」から、と提出すべき場所も複雑で、この点も多くの混乱を生んでしまった。
 また改善すべきもう一つの点として、本授業の設計がやはり中途半端というか、どっちつかずだったことである。すなわち、授業の特色として教材を一週間前に提示しその課題を出してもらいそれに基づいてフィードバック授業をする、というサイクルについてきてくれた受講生がいる一方で、このサイクルには徹底的に乗ってこなかった受講生もいた(その比率はざっくり言って1:4である)。とはいえ、授業の特色でも書いたように、「オンデマンド型授業」の利点はいつでも授業に取り組めるのだから、学期を通して授業にいつでも参加できるようにしなければ意味がない、と思ったのもまた事実で、後者が前者よりアプリオリに「怠けている」ということではなかろう。とはいえ、課題の出来として、圧倒的に少数派の前者の受講生は、例年と比べても極めて優秀な答案(課題)を作成・提出してくれた。後者の受講生の場合、多少遅れてはいるが定期的に課題を提出してくれた受講生は少数派で、多数は本当の〆切ギリギリになって、多数の課題を一気に提出した。正直、この手の提出をする受講生の答案の出来はそれほど良くなかったのもまた事実である。
アイデア ①本授業の肝は、「オンデマンド教材の提示→教材を視聴したうえでの課題提出→リアルタイムでのフィードバック」というサイクルのもとで授業を行ったことである。これはひとえに、オンライン授業(オンデマンド型)において、不可避的に生じる受講生側の「放置感」「孤独感」をできるだけ抑えるためのものだった。
 学生と(限られた範囲ではあるが)話して学生が最も不満に思っているのは、教員とのコミュニケーション不全が起きた場合である。コミュニケーション不全を回避するためのフィードバックはオンライン授業には不可欠だと強く感じる。
(余談であるが、学生側の意見や不満に教員が「耳を貸さない」ということに学生がいっそう強く不満に感じるケースを見聞することが多い。これも、一種のコミュニケーション不全であろう)
②オンデマンド教材を一つの映像作品として受け取ってもらうため、例えば、こちらが説明する際には、必ず立って撮影した
改善した点 授業内容の下となっているノートの内容自体はそれほど違いはない(違いを作れるほどの準備時間がなかった)が、伝え方はすでに書いているように、相当変えた。

授業に関連のある画像

オンデマンドでの講義風景。講義で取り上げた題材(ここでは19世紀末に設立された国際団体の当時の写真)を背景にして(すべてのスライドではないが)、教員が講義している映像をつけている。オンデマンドであっても必ず立って映像収録した。
Title:Mundanuem ca.1910, Archiv Mundanuem, Mons
各回、必ず「課題」を最後に提示し、提出してもらい、それを採点し、この各回の「課題」の点数をディスカッションの点数を積み重ねて成績を付けた。定期試験前の一夜漬け等は不可能で、受講生の勉強量は相当多くなったと思われる。
オンデマンド教材には、時に映像を埋め込んで、見てもらった。これは、冷戦期を説明する際に毎年見てもらっている当時のニュース映像。パワポファイルに埋め込んでるので、シームレスに再生される。
Title:Michael Jackson en concert à Berlin Ouest(1988.6.20) INA.fr(Institut National de l'Audiovisuel)
エンディングの様子。講義が終わる直前から音楽をつけて流し(音声挿入のタイミングをアニメーションで設定できる)、このエンディングにおいて各回の「課題」や参考文献等を流し、曲の終わりに合わせて各回の「お別れメッセージ」を登場させた(これもアニメーションで設定)
一週間前に提示したオンデマンド教材の「課題」を期限内に出してもらった人の文面をまとめて、毎週授業時に行ったZOOMライブによるフィードバック授業のキャプチャー画像。期限内に出せなかった人も提出・採点の対象とはなるが、フィードバックの対象外。
三回行ったグループ・ディスカッションにおける議論のまとめの例(出席者の名前は黒塗した)。グループ内の一人が書記となり、ワードを立ち上げて画面共有しながら発言をまとめていってくれた様子が伺える。議題は2週前に提示し、出席者は多少なりとも予習した上で議論に臨む。