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授業事例

オンデマンド型 × 講義農学部 有機化学I
久城 哲夫 先生

授業概要・オンラインの活用状況

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オンデマンド

講義の特色
  • 講義が中心
開講期間 2020年度春学期
配当年次 1年生
開講地区 生田キャンパス
履修人数 151
使用言語 日本語
到達目標 農芸化学の諸分野の基礎となる有機化学に関して、原子の電子構造を基盤に、化学結合、酸と塩基、有機化合物の構造と反応、異性体について学習し、生化学等で学習する代謝反応や食品に含まれる成分の生成過程などの“反応機構”を理解し、書けるようになることが目標である。
オンライン授業としての特長
  • 授業動画を視聴した後に、ノートの作成と教科書の章末問題を解く課題を課した。その際、質問があればノートに記載してもらった。質問や課題提出に対するコメントは、すべてコメント欄で返事を返した。講義内容と関連した雑談を入れるようにしている。

オンラインを活用した授業方法・内容

オンデマンド形式

作成ツール パワーポイントでファイルを作成した。動画はZoomを用いて、パワーポイントのスライドを解説して収録し、動画編集でBGMを所々に入れた。
動画の平均時間 60分(長すぎた感がありますが、授業内容を十分に伝えるためには必要な長さでした)
内容 教科書に沿った解説を中心に講義を行った。普段、対面で行っているときの授業ノートに即してパワポのファイルを作成した。動画視聴後にノート作成を行ってもらい、章末問題を解いてもらった。そのノートを写した画像をレポート機能を通じて提出してもらった。質問はノートに記載してもらい、全てレポート機能のコメント欄で回答した。

予復習の指示、成績評価の方法

予習 教科書の進行表を示し、あらかじめ大まかな授業日程を提示した。あらかじめ教科書を読んでおくよう伝えた。
復習 各章の練習問題と章末問題を解くように指示した。また、ノート作成を行わせた。ノート作成と章末問題の解答を課題として提出させた。
成績評価 課題(計5回):45%
期末試験課題:55%

学生とのコミュニケーション

学生とのコミュニケーション方法 レポート機能のコメント欄

工夫や苦労したこと

工夫した点 対面の時でも行っているが、100分間学生が飽きないように、途中に授業内容と絡めた雑談を、スライドを交えて紹介している。例えば、身近な植物に含まれる様々な有機化合物を例に挙げ、今習っている内容が実際の化合物につながっていることなどを示している。テキストの学習だけでは、この学びがどこに繋がるのか分かりづらく学習意欲を失う学生も多いために、なるべく実際の現象とつながっていることを強調して話題提供している。
また、オンライン授業では学生とのコミュニケーションが制限されるため、課題を提出させた際に必ずコメントをつけるようにした。課題は、動画を見てノートを作成してもらい、さらに章末問題を解いてもらった。そのノートを撮影した画像を提出させたが、授業内容や章末問題に関して質問がある場合には質問内容を併せて書いてもらった。コメントにはそれらの質問の回答を記入した。実際、2人に1人くらいは何かしらの質問を書いてくれていた。
苦労した点 課題は全部で5回提出してもらったが、毎回150人分の課題のチェックとコメントを書くのに3日間くらいを要した。また、通常の対面授業では板書で講義しているため、オンラインでは動画用のパワポファイルを全て作成しなければならなかった。
失敗した点 期末試験の課題を試験期間中に出さなければと思ってそのようにしたが、他の教科も試験期間中に課題が集中してしまうため、最終課題に時間が割けなかったようだ。締め切りギリギリの提出が多く、また課題も十分に時間をかけて解いていないようであった。もう少し早めに課題を出し、科目間で分散させた方がよかったのかもしれない。
アイデア オンデマンドの動画では、学生はただ観ているだけになってしまうため、観ていても飽きないような試みが必要かもしれません。私の動画では、余談の部分や冒頭にBGMを所々に入れました。その分、動画編集にだいぶ時間が割かれてしまいましたが。
また、動画ならではの講義を積極的に活用するのも手かと思います。アニメーション効果でより理解してもらいやすい項目も生化学などの分野にはありますし、化学反応も黒板に書くよりも3Dのアニメーションで示すと学生の記憶に残りやすいと思います。私にはそのようなアニメーションの作成スキルがありませんが、専門の方に協力してもらえるとそのような動画教材が作成できるかもしれません。
さらに、課題提出の際、コメントでのレスポンスは、学生の学習意欲向上には大変重要なようです。
改善した点 オンライン授業では、ノートの作成と章末問題を解く課題を課しましたが、一人一人がどの程度理解しているのか把握することができました。普段の対面授業では一人一人のノートチェックなど行わないので、オンラインならではのメリットでした。また、質問があればノートに書いてもらっていたのですが、想定以上に多くの学生より質問をもらいました。普段の授業では人数が多いために個々の質問に答える時間はほとんどありませんが、オンラインでは気軽に質問できたようです。全ての質問にコメント欄を通じて回答しましたが、これは学生にとっては大変よかったみたいです。授業の感想ではこの点が良かったというコメントが多く、他の授業ではあまり課題提出後のフォローがないとのことでした。自宅でオンラインですと授業を受けている感覚がなくなってくると思いますが、教員からのレスポンスがあると授業を受けている実感が持てるようです。
さらに、対面で板書の授業ですと、余談や板書の間を取るために授業の進行スピードがどうしても落ちてしまい、全ての内容を授業でカバーするのが難しいのですが、オンラインではあらかじめ作成したパワポで進行するため、またノートを取る間を取らなくてもいいために、予定通りに講義を進めることができます。これは動画の大きなメリットかもしれません。

総じて対面授業よりもきめ細かな指導ができました。

授業に関連のある画像

学生に提出してもらった、ノートを撮影した画像の例。章末問題で分からなかった部分の質問が書いてあります(青い囲みの部分)。
学生へのコメント欄に記した質問への回答例。